「求人広告を出しても、なかなか採用できない」
最近、このような相談が特に増えています。
人手不足だから仕方がない、少子高齢化で働く人が減っているから仕方がない。たしかに、それも採用が難しくなっている理由の一つです。
しかし、同じ業界・同じような仕事内容でも、毎年安定して採用できている会社がある一方で、求人広告にお金をかけても、まったく採用できない会社があります。この違いは、どこから生まれるのでしょうか。
私は、求人広告がまだ雑誌や新聞など紙媒体中心で、最低賃金が700円台だった頃から、長年採用に関わってきました。
その中で近年、特に強く感じるのが、「採用の仕組みを持っている会社」と「人が必要になったときだけ求人広告を出す会社」の差です。
以前であれば、人が必要になったら求人広告を出す。それだけでも、ある程度の応募を集めることができました。しかし、今は違います。
求職者が仕事を探す方法は、求人サイトだけではありません。
Google検索や会社のホームページ、YouTube、Instagram、TikTokなどのSNS、口コミ、さらにはAIも使いながら会社を調べ、比較するようになっています。
働き方に対する価値観も変わり、求職者が会社を選ぶ時代になりました。
この変化を考えると、従来どおり求人広告だけに頼る「一本足打法」が厳しくなっているのも、納得できるのではないでしょうか。
特に、事業を成長させるために年間で複数名を採用したい会社は、その場しのぎの求人募集を繰り返しているだけでは、これからますます厳しくなります。
必要なのは、求人広告を出すたびに一から採用を始めることではありません。自社を知ってもらい、興味を持ってもらい、応募につなげる。そして、必要な人材を継続的に採用できる状態をつくる。
つまり、会社の中に「採用の仕組み」をつくることです。
この記事では、求人広告に頼るだけでは採用できなかった内装工事会社や土木工事会社、製造会社が、どのように採用の仕組みを整え、応募・採用につなげたのか。
実際の事例を交えながら、これからの中小企業に必要な採用活動について解説します。

求人広告だけに頼らず、新しい採用方法を始めた会社が増えている
採用が難しくなっている代表的な業界の一つに、建築・建設業界があります。建築・建設業や職人の仕事と聞くと、「人手不足」というイメージを持つ方も多いと思います。
実際、国土交通省によると、2024年の建設業就業者のうち55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下はわずか11.7%です。働く人の3人に1人以上が55歳以上で、若手は約1割しかいません。今後はベテランの大量退職も予想され、若手の採用と技術の継承が大きな課題になっています。
参考:国土交通省「令和7年版 国土交通白書」
ただ、建設業界の人手不足は、今に始まった話ではありません。私が採用に関わり始めた約20年前から、建設業や職人の仕事は「人が集まらない」と言われていました。
それでも当時は、求人広告を出せば採用できることもありましたし、社員や知人からの紹介で人を確保している会社も多くありました。
しかし、時代が変わり、いよいよ求人広告を出すだけではどうにもならない会社が増えてきました。
そこで建設業界の中には、従来の採用方法だけに頼ることを早めにやめ、InstagramやTikTok、YouTubeなど、新しい方法に活路を見いだす会社が現れました。
最近、建設会社や職人の会社がSNSで情報を発信しているのを、よく見かけると思います。これらの会社は、求人広告だけでは人が集まらないことに気づき、新しい方法に挑戦した会社です。その結果、若手からの応募が増え、採用に成功した会社もあります。
もちろん、SNSを始めれば簡単に採用できるわけではありません。ただ投稿するだけでは見てもらえませんし、採用につながる発信ができている会社は、まだ一握りかもしれません。
ここでお伝えしたいのは、「建設会社はSNSを始めた方がいい」という話ではありません。大切なのは、従来の方法で採用できなくなったときに、それまでのやり方だけに固執せず、新しい方法を試したことです。
これは建設業に限った話ではありません。製造業、運送業、介護、飲食、サービス業など、採用に困っているあらゆる業界に共通する話です。
私はいつも、採用は「集客」と同じだとお伝えしています。お客様を集めるときに、一つの広告だけに頼っている会社やお店は少ないはずです。
広告の内容や掲載先を変え、反応を見ながらテストする。ホームページを整備し、問い合わせの状況を確認する。動画やSNSも活用する。それ以外にも、紹介や口コミ、Google検索、AI検索など、さまざまな方法を試行錯誤しながら、お客様を集めていると思います。
ところが、同じ「人を集める活動」でも、採用になると一気にやらなくなります。
「求人広告を出せば、なんとかなるだろう」
「採用サイトを作ったから大丈夫だろう」
「会社紹介の動画を一本作れば応募が来るだろう」
このように、一つの施策を行っただけで満足してしまう会社が少なくありません。集客では複数の方法を組み合わせ、何度も改善するのに、採用では求人広告だけに任せてしまうのです。
だからこそ、まだチャンスがあります。
周りの会社がそこまで取り組んでいない今なら、求人広告、採用サイト、動画、SNSなどを組み合わせ、少しずつ改善していくだけでも、競合より頭一つ抜けることができます。
大掛かりなことを一度に始める必要はありません。自社に合った方法を選び、求職者に知ってもらうところから応募、採用までの流れを一つずつ整えていく。
それが、求人広告だけに頼らず、継続的に人を採用するための「採用の仕組み」です。
求人広告依存をやめ採用できた3社の事例
ここからは、業界や会社の課題に合わせて採用方法を見直し、成果につなげた実際の事例を紹介します。

1.SNSからホームページへつなげ、職人見習いを採用した内装工事会社
埼玉県の内装工事会社では、まずホームページをリニューアルし、仕事内容が伝わる動画を掲載しました。
SNSも、Instagramに写真を投稿するだけの発信から、ショート動画を中心とした発信へ変更。Instagramだけでなく、YouTubeやTikTokにも同じ動画を投稿し、会社を知ってもらう入口を増やしました。
すると、開始から約2週間で、TikTokを見た30代前半の男性がホームページを訪問。ホームページに掲載していた動画を見て会社への理解を深め、職人見習いとして応募してくれました。
TikTokで会社を知る
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ホームページを見る
↓
動画で仕事内容や会社の雰囲気を確認する
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応募する
SNSだけで採用できたのではなく、SNSを入口にして、ホームページと動画へつなげる仕組みを作ったことで採用につながった事例です。
詳しくはこちらの記事をご参考ください。

2.採用サイトと動画を整備して20代を4名採用した製造会社
千葉県の製造会社では、求人広告を出すと応募は来るものの、中高年からの応募が多く、採用したい若手からの応募がほとんどありませんでした。
そこで、若い人にも会社や仕事の魅力が伝わるようにホームページをリニューアル。仕事内容や職場の雰囲気、働いている社員の姿を動画で紹介し、求人広告からホームページへ誘導する流れを作りました。
その結果、20代の若手を4名採用することができました。
求人広告で会社を知る
↓
ホームページを見る
↓
動画で仕事内容や職場の雰囲気を確認する
↓
応募する
求人広告だけで完結させず、採用サイトと動画を組み合わせたことで、若い求職者にも会社の魅力が伝わるようになった事例です。
詳しくはこちらの記事をご参考ください。

3.求人広告×HP×SNS活用で3名を採用した土木工事会社
ある土木工事会社では、年間約200万円を求人広告にかけていましたが、思うように採用できていませんでした。
そこで、求人広告の掲載先を変えるだけではなく、どのような人を採用したいのかを改めて考え、求人広告の内容を見直しました。
さらに、ホームページ、動画、SNSを活用し、仕事内容や会社の雰囲気、未経験者がどのように仕事を覚えていくのかを伝える仕組みを整えました。
その結果、求人広告だけでは全く採用できなかった人材を3名採用することができました。
求人広告やSNSで会社を知る
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ホームページを見る
↓
動画で仕事や会社の雰囲気を理解する
↓
応募する
採用できない原因を求人広告だけに求めず、会社を知ってもらうところから応募までの流れ全体を見直したことで、採用につながった事例です。
詳しくはこちらの記事をご参考ください。
この3社が行ったことは、それぞれ違います。
内装工事会社はSNSからホームページと動画へ誘導し、製造会社は求人広告と採用サイト、動画を組み合わせました。土木工事会社は、求人広告、ホームページ、動画、SNSを含めて採用活動全体を見直しました。
大切なのは、SNSや動画を始めることではありません。
自社が採用できない原因を見つけ、その課題に合った方法を組み合わせ、求職者に知ってもらうところから応募までの流れを作ること。
これが、自社に合った「採用の仕組み」を作るということです。

これから必要なのは、求職者と出会う場所を増やすこと
ここまで紹介した事例のように、これからの採用では、求人広告だけではなく、ホームページ、動画、SNSなどをきちんと整備し、それぞれをつなげることが重要です。
さらに細かく言えば、Googleビジネスプロフィール、口コミ、会社情報、社員紹介、よくある質問など、求職者が会社を調べたときに目にする情報も整えておく必要があります。なぜなら、今の求職者がどこで御社と出会うかは、もうわからないからです。
例え話ですが、一昔前は多くの人がテレビを見ていました。
同じドラマを見て、同じ俳優やアイドルに興味を持ち、次の日には学校や職場で、昨日のバラエティ番組の話をする。そんな時代でしたよね。
しかし、今は違います。
テレビを見る人もいれば、YouTubeを見る人、Netflixを見る人、TikTokを見る人もいます。一昔前なら誰もが知っていたような有名人でも、「ここ数年まったくテレビを見ていないから知らない」という人が珍しくありません。それくらい、私たちが情報に触れる場所は多様化しています。
求人も同じです。
以前のように、求人広告に掲載すれば、仕事を探している人がみんな見てくれる時代ではありません。
求人サイトで探す人もいれば、Googleで検索する人、SNSで会社名を調べる人、偶然流れてきたショート動画で会社を知る人もいます。DMやLINEで企業と直接やり取りすることへの抵抗も、以前より少なくなっています。
実際、中途採用における20代の求職者599名を対象にした調査では、85%が転職活動中にSNSで会社名を検索したと回答しています。
参考:20代求職者のSNS利用調査
大手企業であれば、すでに多くの人が会社名や商品を知っています。しかし、中小企業の採用は、まず会社を知ってもらわなければ何も始まりません。
どれだけ良い会社でも、どれだけ働きやすい職場でも、求職者に存在を知られていなければ、応募の候補にすら入れないからです。
だからこそ、今の時代に合った情報発信が必要です。そして、これからはAIを使って仕事を探す人も増えていくでしょう。
「自宅の近くで、未経験から働ける製造会社は?」
「若手を育ててくれる建設会社は?」
「残業が少なく、会社の雰囲気が良い仕事は?」
このような条件をAIに伝え、仕事や会社を探してもらうことが、当たり前になっていく可能性があります。
そのとき、AIは何を材料にして会社を判断するのでしょうか。
AIが参考にできるのは、インターネット上に公開されている情報です。
数カ月間だけ掲載されている求人広告しか情報がない会社と、ホームページに募集条件や仕事内容、社員の声、会社の雰囲気などがわかりやすく掲載され、動画やSNSでも日常的に情報を発信している会社。
どちらの方が、求職者にもAIにも理解しやすいでしょうか。
オンラインで仕事内容や社内の様子を確認でき、応募前に疑問や不安を解消できる会社の方が、安心して候補に挙げやすいのは当然です。
これからは、求職者に情報を届けるだけではなく、AIにも自社のことを正しく理解してもらえるように、採用情報を整備する視点が必要になります。
求人広告、ホームページ、動画、SNS。
これらをバラバラに作って終わりにするのではなく、求職者が会社を知り、興味を持ち、詳しく調べ、安心して応募できる流れを作る。
それが、これからの時代に必要な「採用の仕組み」です。
とはいえ、すべての会社がSNSや動画を始めればよいわけではありません。採用できない原因は、会社によって違います。
求人広告の内容に問題があるのか。
掲載している求人サイトが合っていないのか。
ホームページで魅力を伝えきれていないのか。
それとも、そもそも募集条件や採用したい人物像を見直す必要があるのか。
原因が違えば、必要な対策も変わります。
「求人広告を出しているけれど応募が来ない」
「毎年、複数名を採用したいが安定しない」
「求人広告だけに頼らない採用の仕組みを作りたい」
このようなお悩みがあれば、一度、御社の求人を私に見せてください。
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