「求人広告を出しても応募が少なくて、なかなか採用できない…」
「やっぱり、給料を上げないと人は来ないのかな?」
採用に困っている会社から、こんな相談をよくいただきます。
もちろん、給料は高い方が採用には有利です。周辺の会社が月給30万円で募集しているのに、自社だけ月給20万円。これでは、さすがに採用は難しくなります。
しかし、「応募が来ない=給料が安い」と考えるのは、少し早いかもしれません。
私は20年以上、さまざまな会社の採用を見てきましたが、給料を上げても応募がほとんど増えない会社もあれば、反対に周辺の給与相場よりかなり低いのに、多くの応募が集まる会社もあります。
つまり、採用は給料だけで決まるほど単純ではないのです。大切なのは、応募が来ない原因を確認したうえで、「どの条件を、どう変えるのか」を考えることです。
今回は、なぜ給料を上げても応募が来ないことがあるのか。そして、採用につなげるためには、どのように募集条件を見直せばいいのか。
実際の採用現場の話も交えながら解説していきます。

毎年、賃金は上がっていく
最低賃金が毎年のように上がっている以上、給与も上げていく必要があるのは当然です。
私が求人広告会社に入社した当時、最低賃金は東京都ですら710円。埼玉県は679円、千葉県は678円、茨城県は648円でした。今から考えると、驚くような金額ですよね。
それが、採用コンサルとしてスタートした頃(2023年)には、 東京都は1,113円、埼玉県は1,028円、千葉県1,026円、茨城県は953円 。
そして、今年2026年10月の目安として、
東京都→ 1280円(引上げ額54円)
埼玉県→ 1196円(引上げ額55円)
千葉県→ 1195円(引上げ額55円)
茨城県→ 1136円(引上げ額62円)
と発表されています。
このように、最低賃金だけでなく、求人に掲載される時給や月給も大きく上がりました。最近では、新卒でも月給30万円を超える求人を見かけるようになっています。
そんな求人を毎日のように目にしていると、
「うちは給料が低いから応募が来ないんだろうな」
「もう少し給料を上げないと採用できないかな」
そう考える社長さんも多いと思います。実際、採用できない会社からご相談をいただくと、
「やっぱり、給料を上げないとダメですかね?」「給与はいくらにすればいいですか?」と聞かれることはよくあります。中には、これ以上人件費を上げるのは厳しいけれど、それでも採用するためには仕方がないと、無理をして給与を上げる会社もあります。
ところが、いざ給与を上げて求人を出してみても……
思ったほど応募が増えない。
場合によっては、ほとんど変わらない。
「給料まで上げたのに応募が来ない。じゃあ、いったいどうすればいいんだ……」となってしまうわけです。
でも、実はこれ、採用の現場ではそれほど珍しい話ではありません。

「値下げしても売れない」と同じ
「賃金を上げても、なかなか採用できない」
なぜこんなことが起きるのかというと、ひとつには、自社だけでなく周りの会社も給与を上げているからです。
例えば月給25万円の求人を35万円にすれば、さすがに求職者から見ても大きな違いになります。しかし、25万円を26万円にするくらいではどうでしょう。もちろん1万円でも高い方がいい。
でも、周りの会社も同じように給与を上げていれば、それだけで「この会社に応募しよう」と思ってもらえるほどの差にはなりにくいのです。
実はこれ、商品の「値下げ競争」と似ています。
商品が売れないから値段を下げる。では、値下げをすれば必ず売れるようになるのかというと、そんな単純な話ではありませんよね。逆に、相場より値段が高くても売れている商品はいくらでもあります。
「この商品が欲しい」
「この店から買いたい」
そう思ってもらえる理由があれば、価格だけで選ばれるわけではありません。
求人も同じです。
市場の給与相場を確認して、必要に応じて給与を上げていくことはもちろん大切です。しかし、それだけでは周りの求人と同じように給与が上がっていくだけで、結局は埋もれてしまいます。
だからこそ、給与以外にも「この会社で働きたい」と思ってもらえる付加価値が必要なのです。

給与以外で、どう付加価値をつけるのか?
では、給与以外でどう付加価値をつければいいのか、という話です。これは業種、職種、給与、勤務条件、エリア、会社の風土などによって変わるため、やり方は会社ごとに無数にあります。
とはいえ、「会社によって違います」で終わってしまっては元も子もありません。
そこで今回は、私がこれまで採用に携わってきた経験から、特に採用につながりやすい3つの考え方をご紹介します。
1.他社との差別化を考える
これは、とても大切です。
現在、多くの求職者はIndeedなどの求人サイトで、たくさんの求人を比較しながら仕事を探しています。しかし実際に求人を見てみると、同じ職種であれば、そこまで大きな違いはありません。
例えば現場作業員なら、道路工事なのか、外構工事なのか、水道工事なのか。もちろん経験者の中には仕事内容にこだわって探している人もいます。しかし、異業種からの転職希望者や未経験者からすれば、実際に働いたことがないので、その違いまではなかなか分かりません。
さらに給与や休日などの条件を見ても、同じ地域、同じ職種であれば似たような求人が並びます。つまり、求職者からすると「決め手に欠ける」のです。それでも、その何百、何千という求人の中から、
「ここなら良さそうだな」
「なんか、この会社は他と違うな」
「ちょっと気になるな」
「一度、話を聞いてみたいな」
と思う会社を探しています。
だからこそ、他社と同じようなことを書くだけではなく、「この会社は何か違う」と感じてもらえる理由を作ることが大切です。これが、採用における差別化です。
差別化については話し始めると長くなってしまうので、実際の事例を別の記事で詳しく紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
2.発信方法を変える
次に考えてほしいのが、求職者への情報の届け方です。
多くの中小企業では、
「人が欲しい」
↓
「ハローワークや求人広告に掲載する」
↓
「応募を待つ」
という採用活動が中心だと思います。もちろん、求人広告は今でも採用活動の中心ですし、私自身も活用しています。しかし、求人広告に掲載して待っているだけでは、なかなか応募が集まらないケースが増えているのも、皆さんご承知の通りだと思います。
そこで私は、求人広告だけに頼らず、ホームページや動画、SNSなども組み合わせることもあります。
例えば、
・求人広告を見て会社に興味を持った人に、ホームページで職場や働いている人の雰囲気を詳しく伝える。
・文章では伝わりにくい仕事内容を動画で見せる。
・SNSを使って、そもそも求人サイトを積極的に見ていない人にも会社を知ってもらう。
私自身も日々試行錯誤していますが、「求人広告に何を書くか」だけでなく、「どうやって求職者に情報を届けるか」まで考えることが、これからの採用では大切です。
3.給与だけでなく、条件全体を見直す
「給与を上げただけでは採用できないと言っていたのに、結局条件を上げるの?」と思われるかもしれません。
少し矛盾しているようですが、ここには大きな違いがあります。給与だけを少し上げるのではなく、求職者が仕事を探すときの条件を考えて、募集条件全体を見直すということです。
例えば、月給23万円・週休2日制という求人を、月給25万円・完全週休2日制(土日祝日休み)に変更したとします。
これは単純に条件が良くなったというだけではありません。大きいのは、求人を見てくれる人そのものが増える可能性があることです。
求職者は求人サイトで仕事を探す際、「月給25万円以上」「完全週休2日制」「土日祝日休み」など、自分の希望条件にチェックを入れて検索します。
例えば月給23万円の求人であれば、「月給25万円以上」で検索している人には、そもそも求人を見てもらえない可能性があります。
休日も同じです。
「完全週休2日制」「土日祝日休み」にチェックを入れて探している人に対して、その条件を満たしていなければ、仕事内容や会社の魅力を伝える以前に候補から外れてしまいます。
だからこそ、ただ闇雲に給与を上げるのではありません。
求職者がどんな条件で仕事を探しているのかを把握し、どこを変えれば求人を見てもらえる人が増えるのかを考える。給与、休日、勤務時間、働き方などをトータルで見直すことで、求人への反応が大きく変わることがあります。これが、私が考える「条件を上げる」ということです。

求職者の立場で考えると、採用は変わる
ここまで、「他社との差別化を考える」「発信方法を変える」「募集条件を見直す」という3つの方法をご紹介しました。これらに共通しているのは、求職者の立場に立って考えるということです。
求職者は、どんな条件で仕事を探しているのか。
たくさんの求人の中から、なぜこの会社を選ぶのか。
求人広告を見たあと、何を知りたいと思うのか。
どんな情報があれば「応募してみよう」と思うのか。
こうしたことを一つひとつ求職者側から考えていくことで、応募数を増やしたり、ミスマッチを減らしたり、結果として採用率を高めることができるようになります。
実際、私は20年以上、ずっとこれを考えながら採用の仕事をしてきました。求人広告会社に勤務していた頃は、当然ながら「自社の求人広告を使う」という制限がありました。また、私自身も営業職でしたから、どうしても売上優先にならざるを得ない立場です。
それでも、「どうすれば応募が増えるのか」「どうすれば、この会社に合う人を採用できるのか」ということは、紙の求人広告が中心だった時代からずっと考えてきました。
そして、採用コンサルタントとして独立した今は、その制限がありません。
この会社なら、この求人広告を使った方がいい。
求人原稿をこう変えた方がいい。
求人広告だけでは伝わらないなら、ホームページを作る。
文章だけでは分かりにくいなら、動画を使う。
求人サイトだけでは届かない人に伝えたいなら、SNSも使う。
採用するために必要だと思えば、今は手段を選ばずに動くことができます。
求人広告を売ることが目的ではありません。
ホームページを作ることや、SNSをやることが目的でもありません。
「採用すること」が目的です。
だから、その会社に必要な方法を考えて、組み合わせて、応募状況を見ながら改善していく。
その結果、これまでには求人広告に毎月30万円をかけても採用できなかった会社や、年間200万円近く求人広告を使っても苦戦していたような、採用難易度の高い職種でも採用につなげることができました。今回紹介した3つができれば9割以上は採用に繋げることができました。
もちろん、すべての会社に同じ方法が通用するわけではありません。給与を見直した方がいい会社もあれば、求人広告を変えるだけで改善する会社もあります。ホームページを見直した方がいい会社もあれば、募集条件そのものを変えた方がいい会社もあります。
だからこそ、「応募が来ないから、とりあえず給与を上げよう」と考える前に、一度、今の採用活動全体を見てみることが大切だと思っています。
もし、
「求人広告を出しても応募が来ない」
「給与を上げるべきか迷っている」
「何を変えれば採用できるのか分からない」
という状況でしたら、一度、私に見させてください。
求人広告、給与や休日などの募集条件、ホームページ、応募までの流れなどを一通り確認して、どこを変えれば採用につながりそうなのかを一緒に考えます。
初回の採用コンサルは無料で行っています。給与を上げるのは、そのあとでもできます。まずは今の採用活動に、まだ改善できるところが残っていないか。一度、一緒に見直してみましょう。

