「イラン情勢」「ホルムズ海峡」連日、ニュースで情勢が報じられており、不安は増すばかりです。実際には、私のお取引先のお客様の業界でも大きな影響が出始めています。
特に建築業界では、その影響がかなり現実的な問題になっています。
実際に私が集客支援を行っている建築・不動産関連の事業を行っている社長さんから話を聞くと、設備や材料の遅れによって建築が止まり、引き渡しができないケースが増えているそうです。
建物は完成して初めて売上になります。つまり、引き渡しができなければ、売上も入ってきません。しかしその間も、職人の人件費、事務所維持費、外注費、広告費、車両費、各種固定費など、経費は止まりません。
さらに昨年の建築基準法の改正による影響もあり、建築確認や許可関係に時間がかかるケースも増えていて、建てたくても建てられない、許可待ちで着工できない、そんな状況が増えてきています。
これは建築業界だけの問題ではありません。物流、製造業、運送業、飲食、サービス業など、あらゆる業界が少なからず影響を受ける可能性があります。特にホルムズ海峡の問題は、エネルギー価格や物流コストにも大きく関係します。
もし原油価格がさらに上がれば、ガソリン代・輸送コスト・材料費・電気代など、企業の負担はさらに増えていきます。すると企業は当然、「固定費」を見直し始めます。その中で最も大きな固定費の一つが、人件費です。
実際、ここ数年は人手不足が非常に強く叫ばれていました。特にコロナ明け以降は、「とにかく人が欲しい」「応募が来ない」「採用できない」という企業が非常に増えていました。
しかし、今後もし景気後退が強くなれば、その流れが変わる可能性があります。これは過去の歴史を見ても同じです。リーマンショックや東日本大震災やコロナショックの時、私はまだ会社員として採用現場にいましたが、びっくりするくらい求人が減り、応募者が激増します。
そこまではいかないとは思いますが、それまで積極採用していた会社が、急に採用停止になることは普通に起こります。求人広告を大量に出していた会社が、一気に募集を減らす。逆に、それまで採用できなかった会社に応募が増える。過去は、こうしたことが実際に起きてきました。
今回も、同じような流れになる可能性は十分あります。実際、ここ最近でも、「今までは積極採用だった会社が慎重になっている」「募集どころか、人件費削減を考え始めている」
そんな話を耳にする機会が増えてきました。もちろん、今すぐ景気後退が確定しているわけではありません。
しかし、中小企業こそ「変化を前提」に考えておく必要があります。特に採用は、「必要になってから動く」では遅いケースが多い。景気が悪くなってから急に採用戦略を変えようとしても、すぐには対応できません。
だからこそ今、
「本当に必要な人材は誰なのか」
「固定費として抱えるべき人員はどこまでか」
「正社員・パート・派遣・業務委託をどう使い分けるか」
こうした部分を見直す企業が増えていくと思います。また、採用の考え方そのものも変わる可能性があります。
これまでは、「応募を増やす」「採用人数を増やす」という方向だった企業も、今後は、「少人数で回せる体制を作る」「定着率を上げる」「離職を減らす」という方向へシフトしていく可能性があります。
特に中小企業は、大手企業以上に景気変動の影響を受けやすい。だからこそ、今の景気が永遠に続く前提で採用を考えるのは危険です。採用は、社会情勢や景気に大きく左右されます。だからこそ、求人広告だけを見るのではなく、景気、国際情勢、物価、建築や物流の動き、人材市場、こうした全体の流れを見ながら、採用戦略を考えていくことが非常に重要になってきます。
今後、採用市場は大きく変化する可能性があります。だからこそ今、中小企業には「攻め」だけではなく、守りも含めた採用戦略が求められる時代になってきているのかもしれません。
