なぜ求人広告を出しても採用できないのか―採用がうまくいかない本当の理由

採用のイメージ

前回の記事に引き続き、今回は求人広告で採用できない原因について、もう一段深く掘り下げていきます。前回の記事では、仕事を大きく次の3つのカテゴリに分けました。

a. 広告で比較的採用しやすい仕事
b. 内容次第で可能性が分かれる仕事
c. 広告だけでは採用が難しい仕事

条件にもよりますが、aは広告と相性が良く、比較的採用しやすい仕事です。たとえば事務職などがこれに当たりますので、今回はここには触れません。

今回は、求人広告だけでは採用に苦戦しやすいbと、ほとんど採用できないcについて解説します。前回の記事でも書いた通り、求人広告と相性が良い職種というものは、ある程度決まっています。

事務職や倉庫内作業などはその代表例で、ニーズが高い仕事です。需要と供給で考えると、需要は多い一方で、供給(募集企業数)はそれほど多くありません。そのため、求人広告を出すと応募が集まりやすい傾向があります。

一方で、ドライバー職などは少し状況が異なります。ドライバーとして働きたい人、つまり需要も多いのですが、同時に募集している企業数、つまり供給も非常に多い。このため、求人広告上では差別化がしづらく、bの「内容次第で可能性が分かれる仕事」に入りやすい職種です。結果として、応募はあるものの採用に至らない、あるいは時期によって応募数が大きく上下する、といった不安定な状況になりがちです。また離職率も高くなりやすく、結果的に採用がより厳しくなります。

最近では、製造業、とくに夜勤や2交替勤務のある職場でも、日本人の応募が明らかに減ってきています。その一方で、高齢者や外国人の応募は急増しています。仕事の需要自体はあるものの、採用側のニーズと応募者層が噛み合っていない。bのカテゴリーだったはずの仕事が、cのカテゴリーに近づいてしまっているケースも少なくありません。

例に出して申し訳ありませんが、土木作業員などは、広告だけでは採用が難しいcのカテゴリーに入りやすい仕事です。実際に現場を見ていると分かりますが、高齢化、外国人化が進んでいます。

こうした外的要因、つまり自分たちでは簡単に変えられない流れがあることは、まず前提として理解しておく必要があります。

ただ、少し視点を変えてみてください。世の中にどれだけ多くのトラックが走っているか。どれだけ至るところで道路工事が行われているか。そう考えると、物流も建設も、実際に従事している人の母数自体は、決して少なくありません。

それでも採用が難しい、それでも人が集まらない。では、なぜ採用しづらいのか、なぜ採用できないのか。
理由はシンプル、「差別化できていない」からです。

ここからは、求職者の立場に立って考えてみましょう。
求人広告で検索すると、同じような仕事内容、同じような条件の会社が、数百件、場合によっては数千件表示されます。そこから条件を絞っていくだけでも、応募する会社を数社に絞るのは、かなり大変な作業です。

新卒採用で人気の大手企業を想像してみてください。10人の採用枠に、何百人、何千人と応募が来た場合、学歴や条件でフィルターをかけて足切りするしかありません。

これと同じことが、求職者側でも起きています。給与、休日、勤務時間。まずは条件による足切りが行われます。だからこそ、月給19.5万円と20万円、年間休日119日と120日、この違いは、数字以上に大きな意味を持ちます。

また、多くの人は無意識のうちに生活イメージで判断しています。家族4人で暮らすには月30万円は必要だな、家族との時間を考えると土日祝日は休みたいな、そうした感覚も判断材料になります。条件で足切りされたあと、残った会社の中から、どこに応募しようか、少しでも良さそうな会社はどこか、という視点で比較が始まります。

ここで一つ、重要な前提があります。

求職者は必ずしも、「ここで働きたいから応募する」とは限らない、ということです。
面接で雰囲気を見てから決めよう。
実際に見学してから判断しよう。
そう考えて、とりあえず応募する人も多くいます。だから、途中で音信不通になったり、連絡が取れなくなったりするのです。この前提を理解すると、条件で足切りされたあとも、まだ多くの会社が比較対象として残っていることが分かります。

一方で、求職者はすべての求人をじっくり見るわけではありません。情報が溢れている今の時代、最初の1〜2秒で興味を引けなければ、そのまま離脱してしまうことも珍しくありません。だからこそ、興味を持たせる内容は「最後」ではなく、「最初」に入れておくことが重要になります。

仮に、求人広告で興味を持ってもらえたとします。次に求職者が何をするかというと、多くの場合、スマホでその会社を調べます。ホームページを見て、SNSを確認し、口コミをチェックする人もいます。そこで、ホームページを訪れたときに、求職者が知りたい情報がなければ、その時点で離脱してしまうことも、容易に想像できると思います。

また、同業他社や応募候補の会社がSNSを更新していれば、「まずはそちらに応募してみよう」となり、応募の優先順位が下がり、そのまま戻ってこないケースも少なくありません。

私がよく言っているのが、採用はネット集客と同じという考え方です。ネットで情報を発信し、これまで知らなかった人に興味を持ってもらい、最終的に応募につなげる。これは、ネット集客やSNS集客と、仕組みはまったく同じです。

ここを理解しないままでは、求人広告に依存し、採用できない状態が続いてしまいます。逆に、この仕組みを理解すると、採用という集客は格段にうまくなり、採用に困らない会社へと変わっていきます。

採用の相談を受ける際、私はこの話を図で説明することが多いのですが、多くの方が「なるほど」と腹落ちしてくれます。

整理すると、こうなります。
求人広告は、求職者との出会いの場。
ホームページは、興味を持った求職者が判断する場。
SNSは、出会いの場であり、関係を深める場。

求人広告は、あくまで入口です。それだけで応募してくれたら、正直ラッキーです。応募しなかったとしても、興味は持ったが迷っている、他も見てから決めたい、時間がなくて後回しになった、そうしたケースは無数にあります。

応募があるか、ないか。
0か1かで考えるものではありません。

条件や広告だけに注目するのではなく、広告からオウンドメディアまで、視野を広げて採用を考える必要がある時代です。今の時代、採用できない原因を一言で言えば、そこを理解できていないということになります。

※採用に関する相談も受付しています。