なかなか採用がうまくいかない中小企業が、採用を成功させるためには、いくつかの要素を組み合わせて考える必要があります。
私自身、これまで多くの中小企業の採用を支援してきましたが、特に重要だと感じているのは、求人広告だけに依存しないこと、動画を含めたホームページの整備、そしてSNSの活用です。SNSについては、運用だけでなくSNS広告も含めて考える必要があります。
特に昨年あたりから、動画制作やSNS運用に関する相談が増えてきました。これまで「うちにはまだ早い」「難しそう」と感じて、なかなかチャレンジできなかった会社さんも、「もう求人広告だけでは採用できない」と感じ、いよいよ重い腰を上げ始めた、そんな印象があります。
そんな中で、最近よく聞く相談があります。
「突然、動画が回らなくなった」
特に多いのがYouTubeショートに関する相談です。これまで1投稿あたり500回〜3,000回ほど再生されていた動画が、急に初動5〜10回程度になってしまった、という話をよく耳にします。
実は、私がサポートしている会社さんでも、まったく同じことが起きています。
これまで悪い時でも500回前後、良い時には2,000〜3,000回ほど再生されていた動画が、ここ5本ほどは初動が数回、その後伸びても100回前後という状況です。
いろいろと調べたり対策を考えたりする中で、「YouTubeの立場だったらどう考えるだろうか」と想像し、ひとつの仮説を立ててみました。
そもそもYouTubeショートは、多くの人にとって「エンタメ」や「暇つぶし」として利用されている側面が強いサービスです。
YouTubeにとって重要なのは広告収入であり、できるだけYouTubeの中に長く滞在してもらい、多くの広告を見てもらえることが理想です。
そう考えると、YouTube以外のサイトへ誘導する動画や、「募集」「採用」「応募」といった、少し不確かな印象を与える要素が強い動画は、あまり好まれない可能性があります。
「募集しています」
「サイトを見てください」
「応募してください」
こうしたメッセージが前面に出ている動画を、YouTubeが敬遠している可能性は十分にあると思います。
では、これまでなぜ再生されていたのか。正直なところ、はっきりとした理由は分かりません。アルゴリズムが変わったのか、たまたまそういう時期だったのか、チャンネルごとの評価が変わったのか。
ネットやSNSを見てみると、同じような悩みや声はいくらでも見つかります。もちろん、こうした現象は今に始まった話ではありません。
中には、以前は数十万回、数百万回と再生されていたにもかかわらず、突然1〜2回しか再生されなくなった、という極端な例も見かけます。
AIによるショート動画の急増などもあり、それに対してYouTube側が何らかの調整や規制を行っている可能性も、十分に考えられるでしょう。
ただでさえハードルの高いSNS運用です。こうした状況が続くと、正直がっかりしますし、更新を続けるモチベーションが下がってしまう気持ちもよく分かります。
しかし、ここで一度立ち止まって考え直した方がいいとも感じています。もちろん、再生数が伸びるに越したことはありません。ただ、本当に大切なのは、「会社の求人に興味を持った求職者が、その情報を見てくれるかどうか」です。
SNSをたまたま見て興味を持ってくれたら、それはラッキーなこと。基本的には、求人広告などをきっかけに会社を知った人が、ホームページやSNSをチェックし、その結果として応募につながる。この流れを作ることの方が、採用においては重要だと考えています。
YouTubeをはじめとしたSNS対策は、今後も必要です。ただし、過度な期待をしてしまうと、思うような結果が出なかった時に更新が止まってしまうリスクもあります。
採用のためのSNSは、エンタメではありません。誰もが楽しく見続けるものではない、という前提をまず理解しておく必要があります。もちろん、エンタメ要素をうまく取り入れて、フォロワー数や再生数を大きく伸ばしているアカウントもありますが、それはごく一部で、ほとんどの企業が同じことを再現できるわけではありません。
その前提を理解した上で、「採用」という目的のために、何をするのか、どこまでやるのか、どう活用するのかを決めておくことが大切だと思います。
今回、再生されなくなった会社さんについても、現在は動画の企画を見直し、新しい切り口でのチャレンジを始めています。また何か変化があれば、改めて共有していきます。
